2008年08月01日

王として、ヒトとして

虚空の旅人 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮社
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「守り人」シリーズ、第四巻。
今回の主役は短槍使いの女用心棒バルサではなく、第一巻で彼女にその命を救われた、幼き新ヨゴ皇国の皇太子チャグムです。
新王即位の儀式に参列するため、「星読み」のシュガと、隣国サンガル王国にやってきたチャグム。
海に囲まれ、多くの島を抱えるこの国の陰謀に巻き込まれていきます。

呪い、海の民、そしてかつての自分を思い出させるような「ナユーグル・ライタの目」と呼ばれる少女。

統治者に必要な計算深さ、非情さに相反する、バルサとともに過ごした経験故の優しさ、潔白さのはざまで揺れるチャグム。

ファンタジー…というか王家モノにおける永遠のテーマですよね。
99を助けるために1を見捨てるのが正しい統治者ではあるのですが、それをたいていの主人公は受け入れられない。

百いたら百助けたい。

ゆえになんとかしようともがいたり焦ったり、結局何かを失ったり。

理想に向かって戦う、そんな姿が、ベタでも私はわりと好きです。

民と同じ目線に立ったことで、チャグムは民を数字や駒としてでなく、自分と同じ命だと思うようになった。
だから、犠牲を見過ごせない。
しかたないって諦められない。
君主としては危ういけど、まっすぐな姿勢は人として尊敬します。

バルサの、酸いも甘いも知ってそれでもまっすぐに前を向く強さとは違うけれど、チャグムも強いと思う。

タンダ同様、相方(シュガ)がハラハラさせられるのは、ちょっと可哀想ですけど(笑)

今回の敵だった帝国がこれからも立ちはだかるのか、内部で争いが起こるのかはわかりませんが、これからの物語で、そのまっすぐさが折れることのないよう、願います。
posted by ASKA at 00:55| Comment(2) | TrackBack(1) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「おぉ、チャグムが立派に成長している」
とちょっと感動してしまいました。
トラックバックさせていただきました。
Posted by 藍色 at 2010年10月04日 17:52
TB、コメント、ありがとうございます!

最近TB不調でこちらから返せないんです、すみませんー。。。
Posted by ASKA at 2010年10月04日 23:50
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虚空の旅人 上橋菜穂子
Excerpt: 新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが、シュガとともに向かったのは、ヤルターシ海のサンガル王国だった。新王の即位の儀に招かれたのだ。ところが
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2010-10-04 17:37
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